潰瘍性大腸炎患者に多い話題

潰瘍性大腸炎と診断されてから多くの方々のブログを見たり患者さんが集まるSNSなどで意見交換をしたりしています。

初めての事で全く分からないという方もいれば何十年も治療を続けているベテランさんまで、実に多くの患者さんが日々意見交換などを続けています。

そんな中で目立って質問が多い疑問や不安に感じている話題の一部を少しこのブログでも取り上げてみたいと思います。



1.食事について
まとめサイトや個人ブログなどで、食べて良いとされる食材や食べて悪い物・食べてはいけない物などが実に多く紹介されています。

基本的に食事療法は重症の方を中心に医師の指導により行なう療法の1つで、全患者数の約8割強を占める軽症の方と中等症の方は基本的に食事療法は行なっていないと思います。

再燃した時や体調が悪い時などに健康な方と同じような食生活や食事を続けていると症状が悪化する事もあるので気を付けましょうと言うのが自分の主治医の意見です。


例えば、コーヒーが大好きな方がコーヒーは刺激物だから一切飲んではダメと言われたらどうなるでしょう?

コーヒーを飲めないストレスが逆に症状を悪化させる要因になるので、今までより1回に飲む量や1日に飲む量を減らして体調の様子を見るというのが主流になりつつあります。

アサコールなどの新薬が出てきたおかげで、今まで以上に緩解(寛解)維持や再燃しても早期に緩解(寛解)導入しやすくなったのも功を奏しています。


日々医療は進歩しており新薬なども登場していますので、潰瘍性大腸炎も数多くの対処療法があり、すでに食べたい物を我慢しなければいけない時代では無いのです。

そういった新しい知識を自ら調べたり聞いたりし、実際に何を食べたら体調が崩れるのか大丈夫なのかを把握し、自分に合う食材の種類や量を知っていく事が大事になっています。


潰瘍性大腸炎と食事(2014年12月28日に書いたこちらの記事も見てみてください)



2.主治医について
潰瘍性大腸炎のみならず、どんな疾患でも主治医とのコミュニケーションをキチンと取れる事が最も重要になってくると思います。

一昔前は医師に診て頂くという感じでしたが、医療はサービスという言葉が出てきているように医師と患者との立場は等しい関係へと変わって来ています。

分からない事を質問すればキチンと答えてくださり疾患についても自ら学んでいらっしゃる医師は、本当に心強い存在になります。


たまに主治医と意見が合わないとか現在の治療方針に不安があるという話を見聞きする事がありますが、そのためにセカンドオピニオンなどの制度もあります。

風邪などの疾患と違い主治医とは長い付き合いになりますので、不安や不満があるのでしたら主治医を変えて頂く事や通院する病院そのものを変える事も検討された方が良いかと思います。

患者が自由に病院や医師を選ぶ時代ですので、不安や不満を抱えながら治療を続けていても良い結果にはならないでしょう。


難病法(難病の患者に対する医療等に関する法律)が2014年(平成26年)5月23日に成立し、2015年(平成27年)1月1日より施行されました。


難病の患者に対する医療等に関する法律


現在は前制度から3年間の経過措置中であり事務処理上の都合などもあり、どこの病院で診察を受けても医療費の助成が受けられる自治体が多いようです。

今後この法律による制度である難病医療費助成制度(特定医療費助成制度)を受けるためには、都道府県知事が難病法に基づき医療を受けられる医療機関の指定を行ない、その中から通院する病院や診療所・薬局を自分で申告する必要があります。それ以外の医療機関で診察を受けた場合は医療費の助成対象外となるため、主治医選びも医療機関選びも大事ですよね。



3.病院選びについて
名医と言われる医師や専門医が多くいる病院を選びたいと思った事がある方は多いと思います。

かと言って大学病院などの大きな病院に行けば大丈夫と考えるのは安易です。

潰瘍性大腸炎は消化器内科や消化器外科の先生であれば個人開業医の先生でも診察して頂ける疾患です。


大学病院や専門科のある病院は、高度な治療法などに対応できる設備や医師が揃っている点などが特徴で、対処療法やステロイド療法などで効果が見られないような重症の方やステロイド耐性などがある特殊な患者さんなどの治療に特化しています。

血球成分除去療法・抗TNFα受容体拮抗薬や免疫調節薬または抑制薬を使う治療法・外科手術(大腸全摘術)などが必要であれば大学病院や専門科のある病院を選ぶ必要があるかと思います。

大半の患者さんはアサコールやペンタサなどを用いた内科的治療法を中心に対処療法やステロイド療法で緩解(寛解)導入が可能ですので、街にある個人開業医や総合病院で充分な治療を受ける事が可能です。


大学病院や専門科のある病院は高度医療に特化した治療を主として行なう医療機関である事を頭に入れておきましょう。

街にある個人開業医や総合病院で治療を受けていても、主治医が必要と判断した場合はいつでも大学病院や専門科のある病院へ紹介状を書いてくださいますので心配はいりません。

通院し易く相談し易い医師がいる近場の病院を選ぶのが、長く治療を続けていく上で精神的にも肉体的にも負担がかからず治療に専念できると思います。



4.法律や制度などについて
特定疾患(難病)患者に関する法律や制度は、国レベルのものから市区町村レベルのものまで調べるとたくさんあります。

まとめサイトや個人ブログなどで概要を調べるのは良いのですが、この件に関する詳細については自身で足を運ぶ事も大事だと思います。

市区町村によって保健所・福祉担当部署・障害担当部署・医療担当部署など窓口が違うし制度も違うので、ご自身が住んでいらっしゃる市区町村の担当窓口に足を運び詳細について質問をすればキチンと説明して頂けます。


法律や制度に関する事なんていきなり独学で理解するのは難しいですし、市区町村の担当窓口に行けば大抵パンフレットなどにまとめて置いてくれています。

パンフレットを見ながら説明を受けてもボンヤリとしか理解できないくらい難しく煩雑な面もありますので、個人の経験から市区町村の担当窓口で説明を受けてからネットなどでさらに調べた方が理解し易いと思います。



5.インターネット上の情報について
これは一般的にも言える事かも知れませんが、ネット上には古い情報もあれば個人的な解釈の情報もあり、どれが正しいのか自分の求めている情報なのかを見極める事が重要です。


この食品や飲み物を食べたり飲んだりする事で潰瘍性大腸炎が治ったと謳うサイトなどもありますが、これらは全て詐欺だと思って頂いた方が懸命です。

原因が判らず根本的な治療法が見つかっていないから特定疾患(難病)に指定されているのですから、世界中の医学者や医師が日々研究している段階の疾患を治す食品も治療薬も存在するはずがないのです。


潰瘍性大腸炎が治ったと謳う方々もいらっしゃいますが、緩解(寛解)が長期に渡って続いているか、そもそも別の似た病気と間違って診断されていた可能性も考えられます。

潰瘍性大腸炎と診断された患者の約1~2割はアメーバ赤痢だったり過敏性腸症候群だったり、実は別の疾患であったと後から判明するケースも報告されているくらい診断が難しい疾患でもあるので、治った方々は最初から別の疾患であった可能性もあります。


疾患について詳しく学びたい知りたいと思われるならインターネット上の情報を鵜呑みにせず、医師に相談したり患者会などに加入されたりするのが良いと思います。



少し長い文章になってしまいましたが、ブログや患者さんが集まるSNSなどで目立って質問が多い疑問や不安に感じている一部の話題について書いてみました。

医師によって考え方や治療方針も異なるし患者さん1人1人症状が異なる疾患でもあるため、これが正解とか正しいという答えはありません。その一方で共通する部分やある程度判っている事などもあります。

自分の体の事ですから他の方の経験や体験が全て当てはまるはずはありませんし、時間がかかっても自分と向き合いながら徐々に理解していければ良いと思います。



まずは全てを知り理解しようとするより、上手に病気と向き合い長く付き合っていく方法を見つけ出せる事が重要かも知れません。
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