「免疫」とは細菌やウィルスなどの体に存在しない異物が侵入してきた時に攻撃し排除しようとする体の防御システム(生体防御機構)の事を言います。
花粉症などのアレルギー反応や疾患も言わば免疫です。花粉を異物と認識し、体外へ排出しようとくしゃみや鼻水・涙などが出ます。
免疫力という言葉には「力」と言う言葉がついていますが、免疫力を高めるとか免疫力が低下していると言われると何となくみなさんは信じてしまうのではないでしょうか。
しかし「力」とつく以上、何か基準となるものがあり「力」を表す単位が無ければいけません。1馬力とか1ニュートン、1キログラムも力の単位です。
冷静に考えてみると判りますが、何を基準に免疫力がアップしたりダウンしたりするのか聞いた事がある人はきっといないと思います。
特定の細胞の数で判断する事はありますが、免疫システム全体を表す単位は無いのです。先に書いた通り免疫は生体防御機構というシステムだからです。
免疫が活発になっている・免疫が弱っているという表現は正しいですが、免疫力という言葉は存在しないのです。
なぜなら免疫は体のシステムであり、医学的にも免疫は複数の要因が重なって構成されていると考えられているためです。
サプリメントや食材などを買ってもらいやすくするために「免疫力」という言葉が生まれたのでは無いかと推測します。
このサプリメントを摂取し続けているうちに何となく風邪をひきにくくなったとか花粉症の症状が落ち着いたという事を簡単に伝える事は容易ではありません。
しかし「免疫力を高めて症状を改善する」と言われれば何となく効き目がありそうに思えませんか?
「免疫」という言葉は存在しても「免疫力」という言葉は医学的には存在しないのです。
「パソコン」という言葉が「パソコン力」と言われても何のこっちゃと思うのと一緒なのですが、免疫力という言葉は巧みに聞きなれた見慣れた言葉へと変質してしまっています。
パソコンと言うシステムのパーツを交換してパワーアップする事はできますが、パソコンと言うシステムである事に何ら変化は無いのです。
大手の企業ですら「免疫力」という言葉を使っている所もあり、不勉強と言うか何も分かっていないと言うか誤認から浸透してしまった言葉なのでしょう。
自分なら「免疫力アップ」を謳うサプリメントや食品類は胡散臭いとか販売戦略だなと思ってしまうので買う事はありません。
それでも「免疫力」という言葉に騙され続けるか信じるかはあなた次第です。