ワクチン接種で終わりでは無い

新型コロナウィルスのワクチン接種が国内で本格化してきましたが、Our World in Dataの集計によると2021年7月10日現在で日本において少なくとも1回ワクチン接種を済ませた方の割合は30.5%となっています。2回接種を終えた方はさらに少ないし、ワクチン接種は努力義務であるため接種しない方や拒否する方もいらっしゃると思いますのでどこまで数字が伸びるかは未知数です。

近所のコンビニに行った時に店員さんと話をして気になった事があったので、今回はその話題を取り上げたいと思います。


Share of people who received at least one dose of COVID-19 vaccine, Jul 10, 2021 – Our World in Data



コンビニの店長さんや店員さんとは時間がある時にお話をするのですが、ここ最近になってマスクを着用しないでお店に来るご年配のお客さんが増えているそうです。お客さん曰く、ワクチン接種を2回終えたので暑いしもう大丈夫だからマスクはしないとの趣旨の話をされたそうです。

ニュースや情報をこまめにチェックされている方はご存知だと思いますが、新型コロナウィルスのワクチンは発症や重症化リスクを下げる効果はあるものの、再び感染(再感染)する事までは防げません。ワクチン接種が終わったからと言ってマスクを着用せずにあちこち出掛ければ容易に感染します。ただワクチンのお陰で発症しても軽症や中等症程度で済むか、感染しても発症せず無症状の状態でウィルスだけを拡散する運び屋のような存在になってしまいます。これは本人が気付かないうちに起きているので凄く怖い話です。

ワクチン接種後にマスクを着用せずに出歩いているご年配の方々は、仮に再感染していれば無症状の状態でウィルスをばら撒いている事になるのです。



ワクチン接種に関して、国も自治体もマスコミも大事な情報を伝えずにワクチン接種すれば大丈夫といった雰囲気を醸し出している感があって非常に問題があると感じています。私が住んでいる自治体の広報でもそこまで詳しい話は載っていませんでした。


ワクチン接種を終えたら元通りの世界では無いんです!


従来株から全てが始まった訳ですが、ウィルスは世界各地で猛烈な勢いで変化を遂げ多数の変異株が確認されています。同じ新型コロナウィルスではあるものの、最近は見聞きしなくなりましたが「N501Y」とか「E484K」などの名前からも分かる通り、同じウィルスではありますが構造が全く別物になっているのが変異株です。

ちなみにN501Yとはウィルスのタンパク質の501番目のアミノ酸がN(アスパラギン)からY(チロシン)に変異したもので、E484Kとはウィルスのタンパク質の484番目のアミノ酸がE(グルタミン酸)からK(リシン)に変異したものになります。このちょっとした変化で感染力が高くなったりワクチンの効果が減ったりします。



冬に大流行するインフルエンザは身近(?)なウィルスの1つかと思いますが、インフルエンザウィルスはA型・B型・C型・D型の4種類に分類され、主に人に感染するのはA型とB型になります。

インフルエンザウィルスも新型コロナウィルスと同様にボールにブロッコリーが突き刺さったようなスパイクたんぱく質があり、そのうち重要なたんぱく質であるヘマグルチニン(H1~H16の16種類)とノイラミニダーゼ(N1~N9の9種類)の組み合わせによって144種類に分類されます。

インフルエンザウィルスで有名なものに香港型(H3N2型)とソ連型(H1N1型)がありますが、毎年のように同じ型のウィルスが流行するのであればワクチンや治療薬も完璧なものが開発されると思います。しかし面倒臭い事に亜型と言われる似ているようで似ていない型のウィルスが流行するので、冬になると必ずと言って良いくらい感染者が出ます。近年ではH1N2型やH5N1型といったインフルエンザウィルスが流行しました。



それでもインフルエンザウィルスはヘマグルチニンとノイラミニダーゼの組み合わせによって144種類に分類されていますが、新型コロナウィルスはたんぱく質のみならず、たんぱく質のアミノ酸まで変異するのでかなり厄介なのは何となくお分かり頂けるかと思います。日本では先述した2つの「N501Y」と「E484K」がニュース等でも取り上げられましたが、もっと多くの変異株が世界中で確認されており、簡単に紹介するだけでも下記の種類の変異株が確認されています。


〇新型コロナウィルスの変異株(一部)
N501Y E484K  L452R E484Q K417N K417T N439K D614G A222V Y453F P681H A570D T716I S982A A1708D A701V L242_244L D80A L18F R246I D215G


アルファベットは下表のアミノ酸略号の略号欄の一文字になります。これ以外にもアミノ酸欠損型と言われる delH69V70 delY144 などの変異株も確認されており、インフルエンザや風邪と同じと言えば同じ系統なのでしょうけど、ご覧の通りとにかく複雑で、有効性の高いワクチンや治療薬の開発までには長い時間がかかるだろうなと個人的には感じています。


アミノ酸略号



とりあえず重症化を防ぐワクチンが開発されただけでも今は救われたと思うしかありません。それでも少し前にワクチン選びは慎重にで書いた通り、私個人としてはmRNAワクチンの歴史や技術を考えると接種したく無いので、早ければ来年の初頭には認可見込みである従来のインフルエンザワクチンと同等の製法で作られる組換えたんぱくワクチンが出るまでは基本的な感染症対策の徹底で乗り切ろうと思っています。

今回は長い文章かつ難しい話になってしまいましたが、新型コロナウィルスと向き合うための豆知識を載せておきたいと思います。





〇無症状または軽症の人はどれくらいいるのか
新型コロナウィルスに感染した人の約8割は無症状または軽症です。発症から1週間程度で回復するため自分が感染した事に気が付かない人も多いそうです。


〇最も他人に感染させやすいタイミングはいつか
他人に感染させやすい、つまり体内のウィルス量が最も多い期間は発症する2日前頃から発症後7~10日間程度だそうです。何かしらの症状が出た場合でも無症状でも、感染して発症する前からウィルスを拡散し始めています。マスク着用を徹底する事は自分のためでもあるし他の方のためでもあります。


〇感染から発症までの期間はどれくらいか
ウィルスの潜伏期間は約1~14日で感染すると多くの方が約5~6日程度で発症するそうです。約8割の方は無症状または軽症ですが、発症する約1~14日前からウィルスが体内に潜伏しているため、もし自分が発症しなかったとしてもウィルスを他の方へうつしてしまう潜伏期間中の感染が新型コロナウィルスの特徴の1つだそうです。


〇換気はどれくらい重要か
アメリカのCDC(疾病対策予防センター)は、感染者が15分以上換気の悪い閉鎖空間などに滞在した場合は感染者と6フィート(約2m)以上離れた場所にいたとしても感染リスクがあると報告しています。さらに感染者が移動した直後の空間を通過しただけでも感染リスクがあるとしています。また、日本の厚生労働省クラスター対策班も換気の悪い環境の方が換気の良い環境よりも18.7倍感染が起こりやすいとの解析結果を報告しています。


〇マスク着用はどれくらい重要か
飛沫を吸い込む量を全くマスクなどを着用していない状況を100%とすると、不織布マスクを着用した場合は30%、ウレタンマスクや布マスクを着用した場合は55~60%、フェイスシールドやマウスシールドを着用した場合は100%となるそうです。マスク着用のみでは完全に防げないので、うがい手洗いもこまめにする事が重要です。


〇飛沫はどれくらい飛ぶのか
マスクを着用せずに5分間会話すると1回咳をするのと同じくらいの飛沫が飛ぶそうです。会話と咳ではだいぶ体感が違うので少しくらいの会話なら大丈夫と思いがちですが、思っている以上に飛沫は飛ぶようです。
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